グランドハンドリング、通称「グラハン」。
その言葉を聞いて、パッとイメージが浮かぶ人は少ないかもしれません。
でも、飛行機の周りでキビキビと動き回ったり、飛行機を誘導したりしているスタッフを目にしたことはあるのではないでしょうか。彼らこそまさに、「グラハン」の人々。
定時出発を支える影のプロフェッショナル集団、グラハンに迫ります!
飛行機を駐機場から滑走路へ誘導したり、貨物の積み降ろしを行ったり、お客様が降りた後の機内を掃除したり、機内の備品をセットしたり……。
一言で「グラハン」と言っても色々な仕事がありますが、共通するのは「飛行機の近くで働ける」ということ。
たとえばこんな仕事が、日々の定時運航を支えているんです。
「パドル」と呼ばれる卓球ラケットのようなものを両手に持ち、到着した飛行機を駐機場所へ正確に誘導するのは、「マーシャリング」という仕事。大きな飛行機に指示している! というカッコよさから、憧れる人も多いポジションです。
駐機場から飛行機を押し出すのは、「プッシュバック」と呼ばれる仕事。飛行機は自力ではバックできないのをご存知でしょうか。大きな飛行機を、決められた場所へ車で押し出すには高い技術が必要です。初めてこの仕事を任されたときは、緊張と責任感から、思わず足が震えてしまうほど……。
飛行機を大型の特殊車両で牽引する仕事。飛行機を機体整備工場などに移動させるときは、牽引車で飛行機を引っぱっていきます。
そのほかにも、貨物コンテナを機内に積み込んだり、機内食を運んだり、給水をしたり……と、飛行機が空港に到着してから再び出発するまで、裏ではたくさんのスタッフが動いているのです。
今度空港に行くときは、飛行機の周りでせかせか動き回っているグラハンスタッフをじっくり観察してみてください!
高い専門スキルが求められるグラハン業務。そのため、入社してから勉強することも多くあります。
新しいスキルを身につけるためには資格取得が必要で、その数はなんと100以上!と言っても、もちろんいきなり100個の資格を取るわけではなく、業務の中で徐々に増やしていきます。
資格を取るたびに担当できる仕事が増えるので、達成感や成長を感じやすく、挑戦のしがいがあります。「大型の特殊車両を運転したい!」「プッシュバックをやりたい!」という目標を一つひとつクリアしていくのも、この仕事の醍醐味です。
グラハンは基本チームで動くため、仲間としっかりコミュニケーションをとることが「安全」「スピード」「正確さ」に直結します。
飛行機の側は声が通りにくいため、ハンドサインを出し合いながら仕事を進めていきます。特に「OK!」「できた!」「いいね!」など様々な意味合いで使われるサムズアップ(親指を立てる仕草)は、1日に何十回も使われる定番サイン。
また、貨物スタッフやグランドスタッフなど、他の職種との連携も欠かせません。一つの遅れが飛行機全体の遅れに繋がるという緊張感と隣り合わせな反面、チームスポーツのように仕事を進めていく楽しさもある仕事です。
協力し合いながら業務をこなし、無事に飛行機が滑走路に向かうのを見送ると、ホッと一安心。飛行機に向かって手を降ったとき、手を振り返してくれるお客さまが見えると嬉しくなります。