空港の裏方お仕事図鑑

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仕事といえど“人対人”。真心でぶつかる、北林流・全力コミュニケーション術

ANA新千歳空港(株)旅客サービス部 北林さん

写真:北林さん

こんにちは。ライターのマコです。

いつも、楽しい旅の予感にうきうきとした気分で訪れる新千歳空港。

北海道のおいしいご飯を食べられるお店、お土産屋さん、映画館や温泉もあって充実した空港ですが、忘れてはいけないのがそこで働く素敵な人たちの存在です。

今回は、チェックインカウンターや搭乗ゲートでみなさんの楽しい旅行をサポートしてくれている「グランドスタッフ」のお仕事について聞いてきました。

お話を伺ったのは、ANA新千歳空港株式会社旅客サービス部で働く、グランドスタッフ歴4年目の北林さんです。

人と関わるのが大好きで、お客さまにいつでも最高のサービスを心掛けているという北林さんに、普段のお仕事やエピソード、航空業界を志したきっかけについて聞いてきました。

早番の日はタクシーで出勤!グランドスタッフの1日はどんな感じ?

--- 北林さんは普段どんなお仕事をされているんですか?

空港のチェックインカウンターでの発券、ゲートでの改札業務、お身体の不自由な方のお手伝い、また“PO業務”と呼ばれる飛行機のドアの開け閉めなどを行っています。到着と出発に携わる業務を一日5サイクル繰り返しています。

--- 一日に5サイクル!ちなみに今日って何時に出勤されたんですか?

今日は早番なので、6時15分です!だいたい5時10分に起きて、タクシーで出勤しています。先輩方と相乗りすることもあるので寝坊はできません。

もともと早起きが苦手なので、仕事を始めたばかりのころは辛かったんですけど、意外と慣れてしまうものですよ。

--- そんなに早いんですね!毎日その時間から勤務されるんですか?

いえ、早番×2、遅番×2、休日×2のサイクルなので、毎日早起きというわけではありません。早番の日は、14時頃に仕事が終わります。遅番の日は22時30分の最終便の対応をしてからあがるので、23時頃までですね。

写真:北林さん

苦手な英語を必死で勉強し、英文学科へ。CAを目指した高校〜大学時代

--- 体力勝負なお仕事ですね。北林さんが航空業界を志したのはいつ頃ですか?

高校生のときです。旅行が好きで、いろいろな土地に行ってたくさんの人と会いたいと思って、最初はCA(客室乗務員)を目指しました。英語は壊滅的だったのですが、夢のためにがんばって勉強し、短大の英文学科に入学しました。

--- 晴れて英文科に入学されたんですね。グランドスタッフを志すまでの経緯を教えてください。

大学時代にイギリスに留学して、そこで漠然と外国に住みたいと感じるようになりました。最初はいろいろな土地に行きたいと考えていたのでCAになろうと思ったのですが、面接で落ちてしまって。

でも、人と会うことはグランドスタッフでもできるし、空港という場所、北海道に身を置くことで知識を蓄えることができるのではないかと発想を転換させて、グランドスタッフを目指すことにしました。

--- なるほど。実際にグランドスタッフとして働いてみて、どうですか?

お客様やスタッフから「こんなところに行ってきたよ」と教えてもらえることが多くて勉強になります。仕事柄、旅行好きな先輩や同僚も多いので、いろんな場所の情報が集まるんです。

今の目標は日本の空港を全部まわることです!まだ8〜9か所しか行けていないですが、もっともっといろいろな空港に行って勉強をしていきたいです。

--- お仕事についてからも勉強をし続けるのって素敵ですね。ちなみにグランドスタッフを志すにあたって、必要な資格はありますか?

えっと……英語はできた方がいいんですけど、私はあまり得意ではなかったのでTOEICの点数も履歴書に書きませんでした(笑)

資格ではないですが、自分が働きたい空港に行って、何がどこにあるのかを事前に見ておくことは大事だと思います。少しでも知っているだけで、全然違いますね。

写真:北林さん

仕事といえども“人対人”。お客さまと話すときの心がけ

--- 北林さんはいつでも元気で、常に笑顔を絶やさない方のような気がしていますが、航空業界ってちょっと忙しいイメージがあるんです。

私も入社当初は余裕がなかったんですよ。2年目くらいまでは、先輩から「北林さん、顔怖いよ」と言われることもありました(笑)

今はもう、絶対にそんなことないですけどね。

--- そんな時期もあったんですね。お客様と接するときに心掛けていることはありますか?

お客さまと会話をするときは、カウンターやゲート越しではなく、きちんと外に出てお客さまの近くに行くことです。

以前は余裕がなくて、カウンターの中から出ることができませんでした。お客さまを呼ぶときも、ゲートの中からお名前を叫んだりとか。でも、今では何か伝えたいことがあれば、必ずゲートの外に出ていきます。

そうするとお客さまは一瞬「ハッ」とした顔をされるんですよ。仕事といえども人対人のコミュニケーションなので、お客さまの近くに行くことを意識しています。

あと、飛行機が飛ぶときに新千歳空港のスタッフは全員お客さまに手を振るんですよね。そのとき、私は絶対に両手で手を振るようにしています。全力で!

それに対して両手で振り返してくれたお客さまを見ると、毎回涙が出そうになるんです。それが日々の活力になっているように思います。お客さまに最高の笑顔で接して、喜んでもらいたいですね。

写真:手荷物受付の様子

--- 働いていて、大変だと思うことはありますか?

うーん。個人的に大変だと思うことって、あんまりないんですよね。あ、でもお客様が忘れ物をされたとき、全力で走って探しに行くのはちょっと大変かな……(笑)

一度、搭乗時間ギリギリで忘れ物に気づいたお客さまがいらっしゃって。「私が取りに行ってきますね!」と走り出したはよいものの、忘れ物がある場所がなんと男子トイレだったんです。そのときは、「すみません、忘れ物があるので入ります!」と大声でお知らせして突入しました(笑)

--- 男性トイレ!(笑)それは大変ですね。逆に、働いていて一番楽しいのはどんなときですか?

車いすを利用されている方のご案内が好きです!

到着した後も、次に利用する交通機関まで車いすを押すのを手伝うことがあるんですよ。
この間、私の地元である帯広に行くお客さまがいらっしゃって、「この後どうされるんですか?バスですか、JRですか」とついついたくさんお喋りしてしまいました。

お客さまとの会話をゆっくり楽しめるので、この時間がすごく好きなんです。

写真:北林さん

“説明する”ではなく、“真心を見せる”。お客さまに学んだ接客の極意

--- 今までこの仕事をしてきた中で、印象的だった出来事を教えてください。

ひとつだけ、本当にどうしようか困った出来事があります。

大切にされているライターをどうしても手荷物で持ち込みたいというお客さまがいらっしゃって。ただ、ライターやマッチは危険物のため、種類や個数によって機内持ち込みができません。まずは、どうしても機内にお持ち込みいただけないと形式的なルールを説明しました。でも、なかなか理解していただけなかったんです。

飛行機が出発する時間も迫ってきたころ、思い切って「私もお客様が大切にされているこのライターをお客様に持って行ってほしいんです!でも飛行機の安全のためには禁止されていて、他のお客さまも同じルールで搭乗されているので、どうしても無理なんです。ごめんなさい!でも、私も悔しいんです!」と、思っていることをそのまま口にしました。

そうしたらお客さまは一言「そっか……それなら仕方ないね、わかったよ」と言ってくださったんです。

そのお客さまは、私に説明を求めていたのではなく、私の人間としての心を見せて欲しかったのだと思います。この出来事以来、お客さまとの接し方が変わりました。

写真:北林さん

--- 聞いていて鳥肌が立ちました。そういった困難を経て今の北林さんがいらっしゃるのですね。

グランドスタッフはいろいろなことや条件に挟まれている職種です。

時間、天気、機体のコンディションに左右されることが多く、どうしようもないときに不甲斐なさを感じてしまいます。

だからこそお客様に最高のサービスを提供できるよう、日々努力しています。

--- 北林さんをはじめ、グランドスタッフの皆さんは、私たちの旅の楽しみをいつも支えてくれているんですね!最後に、航空業界を目指す人たちにメッセージをお願いします。

「これができないから、私には無理……」とは思わないでほしいです。英語ができないから、とかコミュニケーションをとるのが苦手だから、と思っても、やりたいなら挑戦したほうがいいと思います。

航空業界の仕事は多岐にわたるので、英語が苦手でもコミュニケーションが苦手でも、それぞれにぴったりな業務が必ずあります。
一度挑戦してみると、やって良かった!と思える仕事ですよ。

(文:竹内真子、写真:渡邊和樹)

ライター:竹内真子(マコ)

北海道リレーション株式会社・北海道ファンマガジン編集部とマカラボ編集部の編集兼ライター。喫茶店勤務とDVに関する講演活動を経て現職に就きました。北国で生まれ育った大学4年生。

YouTube動画解説

写真:YouTube動画スクリーンショット

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グランドスタッフ・その他ホテル

写真:グランドスタッフ

「ターミナルの主役、でも華やかなだけじゃない!? グランドスタッフってどんな仕事?

日々空港を駆け回る、実は体力派!?なグランドスタッフの実態に迫ります。

写真:株式会社JALグランドサービス 伊藤由希子さん

30代半ばから一念発起して転職!旅客サービスは、飛行機とお客さまを“つなぐ”お仕事

株式会社JALグランドサービス 伊藤由希子さん

写真:ホテル日航アリビラ マリンレジャー課
キャプテン 佐藤和香子さん

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ホテル日航アリビラ 佐藤和香子さん

写真:株式会社ソラシドエア 五十嵐那海さん

お客さま一人ひとりの背景を想えるグランドスタッフでありたい

株式会社ソラシドエア 五十嵐那海さん

写真:内藤 真也さん

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写真:田宮さん、齊藤さん

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写真:土江さん

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写真:松田さん

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写真:馬場さん

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ANA大阪空港株式会社  馬場彩夏さん

写真:長間さん、洲鎌さん

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写真:猿木さん、池場さん

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ANA中部空港 グランドスタッフ対談

写真:吉田さん

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写真:山辺さん

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スターフライヤー 山辺さんインタビュー

写真:稲福さん

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JALスカイエアポート沖縄 稲福さんインタビュー

写真:北林さん

仕事といえど“人対人”。真心でぶつかる、北林流・全力コミュニケーション術

ANA新千歳空港(株)旅客サービス部 北林さんインタビュー

写真:佐々木さん

「お客さまの“一生の思い出”を作る仕事」接客にマニュアルはなし!経験で磨く一期一会のおもてなし

ANAエアサービス松山 佐々木さんインタビュー

写真:澤田さん

「お客様の『ありがとう』『また乗りたい』が何よりうれしい」

JALグランドサービス大阪 澤田さんインタビュー

グランドハンドリング(グラハン)・貨物

写真:グラハン風景

定時出発を支える影のプロフェッショナル集団 【「グラハン」ってどんな仕事?】

飛行機の周りでキビキビと動き回るスタッフ、「グラハン」の実態に迫ります!

写真:貨物輸送の様子

産業ネットワークを加速させる、日本経済の「縁の下の力持ち」【航空貨物ってどんな仕事?】

飛行機では、お客さまの手荷物だけでなく、空輸の貨物も一緒に運ばれていることはご存知ですか?

写真:中部スカイサポート株式会社 山下 美優さん

調理場を率いて機内食の盛り付けにやりがい、政府専用機も担当

ANAケータリングサービス 山下さんインタビュー

写真:中部スカイサポート株式会社 袴田侑里香さん

預けた手荷物が何事もなく手元に返ってくる。そんな“当たり前”を担うのが私たちの使命です

中部スカイサポート 袴田さんインタビュー

写真:株式会社 JALグランドサービス 鈴木隼人さん

チームプレーの難しさも喜びも、全部この仕事が教えてくれた

株式会社 JALグランドサービス 鈴木 隼人さん

写真:松山雄司郎さん

貨物の仕事は「難易度の高いテトリス」? 輸出部のエースが語る貨物のおもしろさと可能性

日航関西エアカーゴ・システム株式会社 輸出部 松山雄司郎さんインタビュー

写真:草部早紀さん

コロナ禍で実感した「貨物」の重要性。人の暮らしを支える裏方であることが誇りです

ANA福岡空港株式会社 草部早紀さん

写真:JALスカイエアポート沖縄株式会社/宮良 勝貴さん 宮良 真季さん

「妻/夫は尊敬できる仕事の仲間」夫婦で極めるグラハンの道

AJALスカイエアポート沖縄株式会社/宮良 勝貴さん 宮良 真季さん

写真:新川 育未さん

ものだけじゃなく安心を届ける。貨物を通じて世界とつながる、国際物流という仕事

株式会社OCS 新川 育未さん

写真:ANA新千歳空港株式会社/一般社団法人 千歳観光連盟(出向)川口 達也さん

新千歳空港の貨物ハンドリングから地元の観光振興に転じて分かったこと

ANA新千歳空港株式会社/一般社団法人 千歳観光連盟(出向)川口 達也さん

写真:桝田 麻央さん、前田 裕貴さん

3人の子育てと空港の仕事を両立。グランドハンドリングの夫、グランドスタッフの妻、関空で働く夫婦の奮闘記

株式会社Kグランドサービス 前田 裕貴さん、ANA関西空港株式会社 桝田 麻央さん

写真:写真:坂本さん、坂口さん

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株式会社JALエアテック 坂本さん、株式会社ANAエアサービス佐賀 坂口さんインタビュー

写真:清水さん、吉田さん

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株式会社ANAケータリングサービス 清水さん、吉田さんインタビュー

写真:柏木さん・壇さん

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写真:尾島さん

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写真:田村さん

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写真:森田さん

羽田空港、成田空港で世界中の空を飛ぶANAの機体を毎日洗う機体洗浄のスペシャリスト

羽田空港グランドサービス株式会社  森田さんインタビュー

写真:松村さん、村口さん、加藤さん

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写真:西さん

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写真:石川さん

四隅もピンと美しいシートカバーに宿す誇り。毎日10便以上、おもてなし空間をつくるチームプレー

株式会社JALグランドサービス 石川さんインタビュー

写真:下地さん

「出会えば、みな兄弟」離島の空港を支える絆のチカラ

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写真:古賀さん

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写真:川﨑さん

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写真:岩永さん

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写真:小林さん

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写真:来條さん

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20t級のフォークリフトを操る4歳児のママ。航空貨物を支えるグラハン女子の「道しるべ」になりたい

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航空機・車両整備

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