空港の裏方お仕事図鑑2017

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仕事といえど“人対人”。真心でぶつかる、北林流・全力コミュニケーション術/ANA新千歳空港(株)旅客サービス部 北林さんインタビュー

こんにちは。ライターのマコです。

写真:稲福さん

いつも、楽しい旅の予感にうきうきとした気分で訪れる新千歳空港。

北海道のおいしいご飯を食べられるお店、お土産屋さん、映画館や温泉もあって充実した空港ですが、忘れてはいけないのがそこで働く素敵な人たちの存在です。

今回は、チェックインカウンターや搭乗ゲートでみなさんの楽しい旅行をサポートしてくれている「グランドスタッフ」のお仕事について聞いてきました。

写真:稲福さん

お話を伺ったのは、ANA新千歳空港株式会社旅客サービス部で働く、グランドスタッフ歴4年目の北林さんです。

人と関わるのが大好きで、お客さまにいつでも最高のサービスを心掛けているという北林さんに、普段のお仕事やエピソード、航空業界を志したきっかけについて聞いてきました。

早番の日はタクシーで出勤!グランドスタッフの1日はどんな感じ?

--- 北林さんは普段どんなお仕事をされているんですか?

空港のチェックインカウンターでの発券、ゲートでの改札業務、お身体の不自由な方のお手伝い、また“PO業務”と呼ばれる飛行機のドアの開け閉めなどを行っています。到着と出発に携わる業務を一日5サイクル繰り返しています。

--- 一日に5サイクル!ちなみに今日って何時に出勤されたんですか?

今日は早番なので、6時15分です!だいたい5時10分に起きて、タクシーで出勤しています。先輩方と相乗りすることもあるので寝坊はできません。

もともと早起きが苦手なので、仕事を始めたばかりのころは辛かったんですけど、意外と慣れてしまうものですよ。

--- そんなに早いんですね!毎日その時間から勤務されるんですか?

いえ、早番×2、遅番×2、休日×2のサイクルなので、毎日早起きというわけではありません。早番の日は、14時頃に仕事が終わります。遅番の日は22時30分の最終便の対応をしてからあがるので、23時頃までですね。

写真:稲福さん

苦手な英語を必死で勉強し、英文学科へ。CAを目指した高校〜大学時代

--- 体力勝負なお仕事ですね。北林さんが航空業界を志したのはいつ頃ですか?

高校生のときです。旅行が好きで、いろいろな土地に行ってたくさんの人と会いたいと思って、最初はCA(客室乗務員)を目指しました。英語は壊滅的だったのですが、夢のためにがんばって勉強し、短大の英文学科に入学しました。

--- 晴れて英文科に入学されたんですね。グランドスタッフを志すまでの経緯を教えてください。

大学時代にイギリスに留学して、そこで漠然と外国に住みたいと感じるようになりました。最初はいろいろな土地に行きたいと考えていたのでCAになろうと思ったのですが、面接で落ちてしまって。

でも、人と会うことはグランドスタッフでもできるし、空港という場所、北海道に身を置くことで知識を蓄えることができるのではないかと発想を転換させて、グランドスタッフを目指すことにしました。

--- なるほど。実際にグランドスタッフとして働いてみて、どうですか?

お客様やスタッフから「こんなところに行ってきたよ」と教えてもらえることが多くて勉強になります。仕事柄、旅行好きな先輩や同僚も多いので、いろんな場所の情報が集まるんです。

今の目標は日本の空港を全部まわることです!まだ8〜9か所しか行けていないですが、もっともっといろいろな空港に行って勉強をしていきたいです。

--- お仕事についてからも勉強をし続けるのって素敵ですね。ちなみにグランドスタッフを志すにあたって、必要な資格はありますか?

えっと……英語はできた方がいいんですけど、私はあまり得意ではなかったのでTOEICの点数も履歴書に書きませんでした(笑)

資格ではないですが、自分が働きたい空港に行って、何がどこにあるのかを事前に見ておくことは大事だと思います。少しでも知っているだけで、全然違いますね。

写真:稲福さん

仕事といえども“人対人”。お客さまと話すときの心がけ

--- 北林さんはいつでも元気で、常に笑顔を絶やさない方のような気がしていますが、航空業界ってちょっと忙しいイメージがあるんです。

私も入社当初は余裕がなかったんですよ。2年目くらいまでは、先輩から「北林さん、顔怖いよ」と言われることもありました(笑)

今はもう、絶対にそんなことないですけどね。

--- そんな時期もあったんですね。お客様と接するときに心掛けていることはありますか?

お客さまと会話をするときは、カウンターやゲート越しではなく、きちんと外に出てお客さまの近くに行くことです。

以前は余裕がなくて、カウンターの中から出ることができませんでした。お客さまを呼ぶときも、ゲートの中からお名前を叫んだりとか。でも、今では何か伝えたいことがあれば、必ずゲートの外に出ていきます。

そうするとお客さまは一瞬「ハッ」とした顔をされるんですよ。仕事といえども人対人のコミュニケーションなので、お客さまの近くに行くことを意識しています。

あと、飛行機が飛ぶときに新千歳空港のスタッフは全員お客さまに手を振るんですよね。そのとき、私は絶対に両手で手を振るようにしています。全力で!

それに対して両手で振り返してくれたお客さまを見ると、毎回涙が出そうになるんです。それが日々の活力になっているように思います。お客さまに最高の笑顔で接して、喜んでもらいたいですね。

写真:稲福さん

--- 働いていて、大変だと思うことはありますか?

うーん。個人的に大変だと思うことって、あんまりないんですよね。あ、でもお客様が忘れ物をされたとき、全力で走って探しに行くのはちょっと大変かな……(笑)

一度、搭乗時間ギリギリで忘れ物に気づいたお客さまがいらっしゃって。「私が取りに行ってきますね!」と走り出したはよいものの、忘れ物がある場所がなんと男子トイレだったんです。そのときは、「すみません、忘れ物があるので入ります!」と大声でお知らせして突入しました(笑)

--- 男性トイレ!(笑)それは大変ですね。逆に、働いていて一番楽しいのはどんなときですか?

車いすを利用されている方のご案内が好きです!

到着した後も、次に利用する交通機関まで車いすを押すのを手伝うことがあるんですよ。
この間、私の地元である帯広に行くお客さまがいらっしゃって、「この後どうされるんですか?バスですか、JRですか」とついついたくさんお喋りしてしまいました。

お客さまとの会話をゆっくり楽しめるので、この時間がすごく好きなんです。

写真:稲福さん

“説明する”ではなく、“真心を見せる”。お客さまに学んだ接客の極意

--- 今までこの仕事をしてきた中で、印象的だった出来事を教えてください。

ひとつだけ、本当にどうしようか困った出来事があります。

大切にされているライターをどうしても手荷物で持ち込みたいというお客さまがいらっしゃって。ただ、ライターやマッチは危険物のため、種類や個数によって機内持ち込みができません。まずは、どうしても機内にお持ち込みいただけないと形式的なルールを説明しました。でも、なかなか理解していただけなかったんです。

飛行機が出発する時間も迫ってきたころ、思い切って「私もお客様が大切にされているこのライターをお客様に持って行ってほしいんです!でも飛行機の安全のためには禁止されていて、他のお客さまも同じルールで搭乗されているので、どうしても無理なんです。ごめんなさい!でも、私も悔しいんです!」と、思っていることをそのまま口にしました。

そうしたらお客さまは一言「そっか……それなら仕方ないね、わかったよ」と言ってくださったんです。

そのお客さまは、私に説明を求めていたのではなく、私の人間としての心を見せて欲しかったのだと思います。この出来事以来、お客さまとの接し方が変わりました。

写真:稲福さん

--- 聞いていて鳥肌が立ちました。そういった困難を経て今の北林さんがいらっしゃるのですね。

グランドスタッフはいろいろなことや条件に挟まれている職種です。

時間、天気、機体のコンディションに左右されることが多く、どうしようもないときに不甲斐なさを感じてしまいます。

だからこそお客様に最高のサービスを提供できるよう、日々努力しています。

--- 北林さんをはじめ、グランドスタッフの皆さんは、私たちの旅の楽しみをいつも支えてくれているんですね!最後に、航空業界を目指す人たちにメッセージをお願いします。

「これができないから、私には無理……」とは思わないでほしいです。英語ができないから、とかコミュニケーションをとるのが苦手だから、と思っても、やりたいなら挑戦したほうがいいと思います。

航空業界の仕事は多岐にわたるので、英語が苦手でもコミュニケーションが苦手でも、それぞれにぴったりな業務が必ずあります。
一度挑戦してみると、やって良かった!と思える仕事ですよ。

(文:竹内真子、写真:渡邊和樹)

ライター:竹内真子(マコ)

北海道リレーション株式会社・北海道ファンマガジン編集部とマカラボ編集部の編集兼ライター。喫茶店勤務とDVに関する講演活動を経て現職に就きました。北国で生まれ育った大学4年生。

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