コロナ禍の状況から一転し
活気が戻ってきた空港は、
一緒に働く新たな仲間を
待っています。

そこで、
今日も空港で働く
仲間たちに聞いた
「どうしてこの仕事を選んだの?」
「この仕事に就いてよかった!
と思う瞬間は?」
など、リアルな声を
一味違った形で紹介します。

漫画家のうえはらけいたさんによる「飛ばない空のお仕事マンガ」では、空港の裏方の世界をオムニバス形式で描きます。

今日も現場で働く仲間たちに「この仕事を目指した理由」を聞きました。


中学生の頃、進路指導の一貫で「自分か友人の親に、仕事の内容についてインタビューする」という課題が出された。
隣の席の友人に親の職業を聞いてみると、父親がパイロットだという。

「パイロットかあ、どんな仕事をしているんだろう。」

そんなちょっとした好奇心から話を聞くことに。
当日、友人の父親はキラキラした目で、朝早い日や夜遅い日もあり大変だけど、飛行機から見る景色に毎回感動していること、「この飛行機を自分が飛ばしているんだ」と誇りを持てること、いろんな国に行って、その土地の独特の匂いを感じるのが楽しいこと、そんな話を笑顔で話してくれた。
「飛行機のお仕事ってかっこいいなあ。」
好奇心が憧れになった。


あれからもう10年以上が立つ。
僕はパイロットではなく、飛行機の近くで仕事ができるグランドハンドリングの道を選んだ。
中学時代のインタビューだけが理由ではないが、あれが航空関連産業に興味を持つ最初の一歩になったのは事実だ。


仕事がつらいと思ったときは、あの日に見た友人の父親のキラキラした目を思い出す。
僕も誰かにとって、「かっこいいなあ」と思ってもらえるような仕事ができていると信じて。



幼い頃からダンスを人前でパフォーマンスをするのが大好きだった。
「もっと目立ちたい、もっと上手になりたい」という思いは、年齢が上がるにつれて「どうすれば目の前の人に喜んでもらえるか」に。
そんな変化が私の職業選択にも大きく影響していった。

そんな時に大流行していたのが「GOOD LUCK!!」というパイロットと整備士が主人公のお仕事ドラマ。仕事に打ち込む二人の姿がかっこよくて、夢中になった。
今振り返ると単純だなと思うけれど、「私も飛行機や空港に携わる仕事がしたい」と思った。
そして、目の前の人を笑顔にできたら…。


いろんな出逢いもあって辿り着いたのが、「グランドスタッフ」。

空港という非日常の空間で、「飛行機に乗る」という特別な時間を、より快適に、より楽しい思い出になるようサポートしている。


もちろんドラマみたいにかっこいいことばかりではない。体力勝負の厳しい仕事でもある。
大変なことも多いけれど、初心は忘れずにいつだって全力で、目の前の人に喜んでもらうことを考えている。


入学した高校は商業科。勉強を突き詰めて税理士や公認会計士を目指す道もあったし、早い段階からそうした道を志す同級生もいた。
税理士や会計士は、たしかに長く働くことができそうだし、なんだかかっこいい感じもする。
でも、それは自分の「やりたいこと」だろうか…。
すでに進路を決めている友人を横目に、悶々と考える日々が続いた。

2年生の秋。修学旅行で北海道へ行くことになった。
人生で初めての空港、初めて乗る飛行機。
機体が動き出し、ワクワクした気持ちで窓の外にふと目をやると、制服姿でこちらに手を振っている人たちがいた。


「何てかっこいいんだ!!」

そのとき、私の心が動いた。自分も彼ら彼女らのようにあの場所に立ってみたい。

旅行から帰った直後の進路調査で、希望職種に「航空業界」と書いた。


17歳で飛行機から見たあの景色が、今の仕事につながっている。


グランドスタッフ、グランドハンドリング、貨物・物流、整備では「高校生」、客室乗務員は「専門学校生」・「大学生」という回答が最も多く挙がりました。「就学前」「小学生」と幼い頃から目指していた方もいる一方、なかには「社会人」になってからという人も。意外と別業種から航空関連産業に転職するケースもあるようです。

高校の修学旅行でグアムに行ったとき、マーシャラーの姿を見て「かっこいい!」と一目惚れ。その場で先生に「俺この仕事するわ!」と宣言し、そのままグランドハンドリング学科のある専門学校に入り、航空業界で働くに至りました。(30代男性、整備・製造)
航空業界にまったく興味はありませんでしたが、企業説明会でグランドハンドリングの仕事を知り、航空業界の裏方にはこんなにおもしろい仕事があったのか!と興味を持ちました。(20代女性、グランドハンドリング)
はじめは物流業界に就職することを考えていたが、航空貨物やそれに関わることに魅力を感じた。(20代男性、グランドスタッフ)
就活にあたり、社会に貢献する実感が持てる仕事がしたいと思いました。選択肢の一つとして交通インフラである航空業界が頭に浮かび、採用試験を受けました。(40代男性、事務職)
航空機のプッシュバック後の見送りの際に、機内からお客さまが手を振ってくれるとき。(20代男性、グランドハンドリング)
空港で自分が整備した機体を見かけると「あの機体のタイヤは私が交換した!」と少し誇らしくなる。(30代女性、整備・製造)
仲間と協力して時間通りにお客さまをご案内し、最後に飛行機の扉を閉めるために走る瞬間は達成感がある。(30代女性、グランドスタッフ)
「機内食がおいしい」「食事が楽しみ」の声を聞くと嬉しいし、もっといいものを作りたいと思います。(20代女性、ケータリング)


現場で忙しく働いているとついつい忘れがちになりますが、空港はとにかくスゴイところなんです。
まず、空港があることで世界中の人やモノが点と点で一気につながる。さらに、その国/地域の玄関口としても機能している。空港で働く人は、生活する上で必要な社会インフラを支え、人・モノ・場所のつながりを生む重要な役割を担っていると言えます。
世界への扉を開く、夢のある仕事です。

航空業界は、世界で起きる出来事の影響を受けやすい業界ですが、どんな職業でも「安定した仕事」が幻想になりつつある今、日々起きる少しのピンチにも「やってやろう」という気概で乗り越えることの積み重ねが、仕事と人生をより充実したものにしてくれるはずです。航空関連産業で働きたい! と思ってくれたあなたが、より良い環境で働き続けられるよう、私たちは航空産業全体をつなぐ労働組合として、これからも仲間と力を合わせて明るくベストを尽くしていきたいと思っています。



(航空連合会長 内藤晃)